心すれちがう 悲しい生き様に
葡萄農家の俺が思う金銭関係で厄介なことは1年に1度しか収入がないという事だ。
金遣いが荒かったり計画的に使えない人は翌年の収入時期までに底をついてしまう。
一応俺は農業収入(大した額ではないが)を12分割し、それを会社員の月謝感覚で 1ヶ月毎に貯金から降ろすようにしている。
だが、急遽支払いがあったり車などのまとまった資金が必要になったりする事を考慮するとこの分割した収入も易々と使う事が出来なかったりする。
なので基本理念として「自分は貯金ゼロ」という感覚で日々過ごしており、農業以外で入った収入は使って良いものと心がけているのだ。
農業以外の収入というと今の俺には基本メルカリしかない。
今日も色々出品していたのだが、なんとなく銭を稼いでることに鬱陶しさを感じてある商品を最安値で出品した。
その商品は人気だったため欲しいと思っている人に譲りたい気持ちがあったが、購入者はどうやら転売屋っぽい人だった。
メッセージのやりとりもガン無視。
少しやるせない気分で発送しにコンビニへ行く。
ハレ着を来た成人が写真を取り合っていた。成人した皆さん、おめでとう。
今年は成人式を開催できない地域もあったり、開催出来ても久々に会う同級生なのにマスクをして顔合わせをしたりとちょっと可哀想な気がした。
帰り道は山に沈んでいる夕日が妙に綺麗だった。
自販機によりいつもの相棒を買おうとしたが売っていなかった。
今日の収入、メルカリにて95円。
しばらく自販機の前で立ち尽くしていた俺は何も買わずにその場を後にした。